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「今宮の心中」いまみやのしんじゅう | ||
主な登場人物 次郎兵衛 菱屋の手代 きさ 菱屋の針子 由兵衛 元菱屋の手代 貞法 菱屋の隠 菱屋四郎右衛門 主人 三田村太郎三郎 きさの父 渋川卜庵 医者 |
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あらすじ 菱屋から暖簾わけをしてもらった由兵衛が、主家の隠居貞法たちを招待して船遊びをしていた。そこへ菱屋の針子きさが来る。田舎から父親が来て、許婚と急に結婚させたいと言うが、自分は大坂に留まりたいので、説得を頼むという。追いかけて来た父親に貞法は、大坂でよい婿をさがしてやると請合う。父親も主人が言うのであればと安心する。きさに思いを寄せていた由兵衛は、これは大事なことであるから証文を書いておいた方がよいと提案する。きさは、父が文盲であるからと断るが、由兵衛は自分で文言を書き、父親に印を押させる。遠くからこの様子を見ていたきさの愛人二郎兵衛は、石を投げて邪魔をするが、証文は書きあげられる。 菱屋の仕事場で、二郎兵衛ときさが証文を渡したことを巡って痴話喧嘩を始める。証文の内容はきさも知らぬという。二郎兵衛は、その証文を盗んで、由兵衛の思惑を阻止しようと企む。主人に灸を据えながら、隙を見て巾着から戸棚の鍵を盗み出す。 盗んだ鍵で戸棚を開け、証文を見つけたところへ由兵衛がやって来る。二郎兵衛はあわてて戸棚に隠れるが、様子を見てとった由兵衛は戸棚に鍵をかけ閉じ込めてしまう。由兵衛は、そばに立ち尽くしていたきさに、二郎兵衛を助けたければ自分に肌を許せと迫るが、きさがなびかぬと知ると大声をあげて事の次第を知らせる。主人は、今夜は二郎兵衛を戸棚に閉じ込め、きさは保証人に預けて、全ては明日のことにせよと命じた。 その夜更け、貞法がこっそりと戸棚を開け、二郎兵衛を引き出し、きさを由兵衛に譲るように説く。最初は拒否した二郎兵衛も、長年の恩に報じるために、きさを譲ると承諾する。貞法の話では、証文はとっくに捨てられたらしく、自分が先ほど盗み出し破った証文を確かめると、家を質に取った大事な証文であったとわかる。もう生きてはいられぬと覚悟を決めた二郎兵衛は、家を逃げ出す。 ちょうどそこへ、保証人の姉のところから、二郎兵衛恋しさのあまり逃げ戻って来たきさと落ち合い、あてもなく二人は逃げる。店のある本町から南に向かい、いくつもの橋を渡り、今宮戎の森にたどり着く。激しい雨と雷の中、店から持ち出してきた絹を松の枝にかけて、二人は一緒に首をつって死んでしまう。 |
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