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「心中宵庚申」しんじゅうよいごうしん
主な登場人物

八百屋半兵衛   伊左衛門の養子
ちよ       半兵衛の妻
八百屋伊左衛門  伊左衛門の養父
女房       伊左衛門の養母
美濃屋作右衛門  梅の婿
島田平右衛門   ちよの父
かる       ちよの姉
山脇小七郎    伊左衛門の弟

あらすじ
大坂の八百屋半兵衛は、父の十七回忌で浜松へ下り、弟が仕える坂部郷左衛門家へ挨拶に立ち寄る。そこで半兵衛は、主君のおなりに居合わせ、得意の料理を振る舞い、殿のお気にいられる。半兵衛は小七郎の今後を頼み、浜松を後にする。

ちょうどその頃、半兵衛の妻ちよが、姑に追い出されて、実家の山城へ戻ってくる。姉のかるは、てっきり病に伏せる父平右衛門への見舞いのために帰ってきたものと思ったが、いきさつを知って驚く。話を聞いた病床の父は、三度目の離縁にあったちよを憐れみ嘆く。そうとも知らぬ半兵衛は、浜松の帰り道に山城へ立ち寄り、ちよが帰っていることに驚く。留守中の出来事を知った半兵衛は、平右衛門とかるに、死んでもちよは離縁せぬと約束し、門火に送られて山城の家を去る。

大坂の新靭油掛町の八百屋では、姑が朝から口うるさく店を切り盛りしていた。半兵衛は店の者から伝言を聞き、出かけようとするが、その伝言がちよからのもと知っている姑は、半兵衛の外出を止めさせる。半兵衛は、このままでは姑に悪名をきせることになるので、一度ちよを許して家に入れ、あとで自分が離縁すると、姑を説得する。

何も知らぬちよは、姑に許されたものと思い、いそいそと戻ってくる。半兵衛は事のいきさつを話して、二人で死ぬ覚悟をうながす。そこへ戻ってきた姑は、半兵衛に早く離縁するように迫る。半兵衛は店の者の前で、きっぱりと離縁を言いわたし、ちよを追い出す。そしてその後、人目を忍んで半兵衛も家を抜け出し、ちよと合流する。

半兵衛とちよは手に手を取って、生玉の大仏再建の勧進所までたどり着き、西方に向かって合掌し、最期の時をむかえるのであった。

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