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「卯月の潤色」うづきのいろあげ
主な登場人物

助給法師(与兵衛)
亀      古道具屋の娘
長兵衛    古道具屋の主人
今      長兵衛の妾
伝三郎    今の弟
亀夫婦の伯母


あらすじ
この作品は「卯月の紅葉」の姉妹作で、お亀と与兵衛の心中話の後日編である。

お亀の三十五日。父の長兵衛は、与兵衛を河内の親元に預けたその帰り、伯母と一緒に今姉弟も引き連れて、神子町でお亀の口寄せを頼むことになった。神子の口に現れたお亀の死霊は、今とその弟伝三郎への恨みつらみを語り、さらに与兵衛の命を助けて出家させほしいと述べる。

長兵衛は、伯母から「お亀はそなたが死なしたのじゃ」と責められて、「みなわしの間違いであった」と後悔する。そして、お亀の願いを叶えると約束する。

与兵衛は髪を剃り、出家をとげる。その名を助給法師と改めて、大和の国の平群谷にある庵室に閉じこもった。

4月半ば、庵でお経を唱える助給のもとに、駕籠に乗ってお亀の霊魂が現れ、二人はしばらく時を共にするが、やがてお亀は未練を残したまま消えてしまう。
助給は、去年一緒に死んでいれば迷うのも一緒、成仏するのも一緒であったはずなのにと嘆く。今日は四月十七日、この命日の明けぬ今夜中に自害して、来月の一周忌は未来で一緒に付き添おうと心を決め、お亀の位牌の前で死を急ぐ。


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